
挑戦できる研修環境です
私が医師を志したのは、幼少期の経験が大きく影響しています。母は私が生まれて間もなく乳がんを発症し、一度は完治したものの、小学校2年生の時に再発。それから2年間の入院生活を送りましたが回復には至らず、私が10歳の時に亡くなりました。
母の闘病中、「お母さんを治してほしい」と言われたことが、医師を志す大きなきっかけとなりました。結果として母を救うことは叶いませんでしたが、同じような病気で苦しんでいる人を治したいと強く思うようになりました。
しかし、医学の道は決して簡単ではありませんでした。大学受験では思うような結果が出せず、一度は他学部への進学も考えました。それでも「やはり医師になりたい」という気持ちは揺るがず、再挑戦を決意。その甲斐あって医学部に合格した時は、ようやく目標への第一歩を踏み出せたという実感がありました。

大学進学を機に、大阪で初めての一人暮らしを経験しました。岐阜とは雰囲気や人柄が異なり、新しい環境での生活は刺激的で、多くのことを学ぶ機会となりました。
勉学に励むことは当然重要でしたが、それ以上に「さまざまな経験を積みたい」という思いが強く、部活動やアルバイトにも積極的に取り組みました。バドミントン部と軽音楽部に所属し、学業との両立を図りながら、多様な職種のアルバイトも経験しました。
アルバイトでは、居酒屋やラーメン屋、家庭教師、さらには病院の当直受付など、さまざまな業務に携わりました。特にラーメン屋の仕事は「一度経験してみたい」という好奇心から始めましたが、結果として4年間続けることに。医療とは直接関係のない仕事でしたが、どの経験も現在の業務に少なからず役立っていると感じています。
研修医になってからは、実際に医療の現場に立ち、日々の診療を通じて多くを学びました。忙しさを感じることもありましたが、「働くことが楽しい」と思うことが多く、リアリティショックを受けることもありませんでした。経験を重ねる中で医師としての成長を実感し、充実した日々を過ごせたと感じています。
母の経験もあり、「がんを治したい」という強い思いを抱いていたことから、専門分野として外科を選びました。手術という治療手段を持つ外科は、自分にとって大きなやりがいを感じられる分野だったからです。
現在は消化器外科を中心に診療を行いながら、乳がんの治療にも携わっています。外科医として経験を積む中で、手術の技術だけでなく、患者さんとの関わり方や治療方針の決定にも深く関与するようになりました。
また、キャリアを重ねるにつれ、一人で任される業務も増え、責任の重さを実感する場面が多くなりました。専攻医の頃と比べ、より広い視野で診療にあたり、判断を求められる機会も増えています。それでも、経験豊富な上級医の先生方がそばにいるため、不安なことがあればすぐに相談し、患者さんにとって最善の選択ができるよう努めています。

1年目の研修医には、まず病院のシステムや診療の流れを理解してもらうことを重視しています。たとえば、救急外来では「この症例は緊急性が高いのか」「どのタイミングで上級医に相談すべきか」といった判断ができるよう、実際の症例を交えながら指導しています。また、手術に立ち会う機会があれば、将来的に他の診療科でも必要となる縫合処置など、基本的な手技を習得できるよう指導しています。
2年目の研修医になると、外科に関心を持ち、より主体的に学ぼうとする人が多くなるため、実践的な指導の比重を高めています。手術記録を重ね、腹腔鏡の基本操作を習得するなど、一定の基準を満たした研修医には、ヘルニアや胆のう摘出などの手術を執刀する機会を設けています。 こうした経験は、技術の習得だけでなく、手術全体の流れを理解する上でも重要な学びの場となるため、積極的に挑戦してほしいと考えています。
研修医の指導を行う中で感じるのは、「何を学びたいのか」を明確にしてもらえると、より適切な指導ができるということです。自分の疑問を言葉にし、積極的に質問してくれる研修医には、こちらも可能な限りの知識や技術を伝えたいと思います。また、外科への進路を考えていない場合でも、「どの程度まで学びたいか」を伝えてもらえると、指導の方向性をより明確にできると考えています。

当院は、研修医のうちから幅広い経験を積める環境が整っており、主体的に学びたい方に向いている病院だと思います。外科では研修医でも手技を経験する機会が多く、意欲があれば多くのことを学ぶことができます。特に「研修医でも積極的に経験できる」ことを大切にしており、学ぶ意欲がある人ほど実践の機会が増える環境です。
また、教育体制としては、指導医を中心に、その周りを上級医がサポートする体制をとっています。 研修医が手術を行う際も、必ず指導医と上級医が一緒に入り、安全を確保しながら学べる環境が整っています。そのため、手技の経験を積みながらも、しっかりと指導を受けられる安心感があります。
さらに、自分のペースで経験を積めることも当院の特徴です。 症例数が極端に多いわけではなく、無理なく学べる環境が整っているため、自分の成長に合わせて経験を重ねることができます。加えて、当直体制も整備されており、翌日はしっかりと休息が取れるなど、働きやすさにも配慮されています。
一方で、受け身の姿勢では十分な学びを得ることは難しいかもしれません。 当院では「なんでもやっていいよ」というスタンスで研修を進めているため、積極的に学びたいことを明確にし、自ら行動することが成長につながると思います。
今後は、乳がんや消化器がんを中心に、がん治療に専念していく予定です。専門医の資格を順次取得し、治療の選択肢を広げながら、より多くの患者さんに貢献できるよう努めていきます。
また、岐阜で生まれ育った身として、地元の医療を支えたいという思いが強くあります。医師の数が限られている地域だからこそ、患者さんが遠方へ出ることなく適切な治療を受けられる環境を整えることが大切だと考えています。
当院に入職するまでに複数の病院で勤務し、それぞれの医療環境に触れてきました。どの病院にも特色があり、異なる現場で多くを学ぶことができました。今後も機会があれば国内外の医療機関で研鑽を積み、視野を広げていきたいです。
さらに、外科医として診療に携わるだけでなく、後輩の指導にも力を注いでいくつもりです。研修医が学びやすい環境を整え、実践的な技術を身につけられるようサポートすることも重要な役割の一つだと感じています。これまでの経験を活かしながら、より充実した教育体制の整備にも取り組んでまいります。

外科は決して楽な道ではありませんが、その分、大きなやりがいがあります。研修医の皆さんには、興味のある分野に積極的に挑戦し、学ぶ姿勢を大切にしてほしいと考えています。
実践の機会が多い環境では、自ら学ぶ意欲が成長につながります。当院では、研修医でも手技を経験できる機会が多く、意欲のある方には、さまざまな実践の場を提供できます。前向きに学び、多くの経験を積んでください。
プロフィール
杉山 恵みり

杉山 恵みり
- 大阪医科大学 平成30年卒業
- 日本外科学会 専門医
- 日本消化器外科学会専門医、消化器がん外科治療認定医
- 日本乳がん検診精度管理中央機構認定
検診マンモグラフィ読影認定医師 - 日本乳がん検診精度管理中央機構認定
乳がん検診超音波検査実施・判定医師 - 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医