

プログラムの特色
本研修プログラムは専門研修基幹施設と専門研修連携施設の施設群で行われ、それぞれの特徴を生かした症例や技能を広く、専門的に学ぶことができます。
総合診療専門研修I(外来診療・在宅医療中心)、総合診療専門研修II(病棟診療、救急診療中心)、内科、小児科、救急科の5つの必須診療科と選択診療科で3年間の研修を行います。
このことにより、包括的統合アプローチ、一般的な健康問題に対する診療能力、患者中心の医療・ケア、連携重視のマネジメント、地域包括ケアを含む地域志向アプローチ、公益に資する職業規範、多様な診療の場に対応する能力という総合診療専門医に欠かせない7つの資質・能力を効果的に修得することが可能になります。
当プログラムで習得できる能力
- 包括的統合アプローチ
- 一般的な健康問題に対する診療能力
- 患者中心の医療・ケア
- 連携重視のマネジメント
- 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ
- 公益に資する職業規範
- 多様な診療の場に対応する能力
当プログラムで学習できること
臨床現場での学習
職務を通じた学習(On-the-job training)を基盤とし、診療経験から生じる疑問に対して EBM の方法論に則って文献等を通じた知識の収集と批判的吟味を行うプロセスと、総合診療の様々な理論やモデルを踏まえながら経験そのものを省察して能力向上を図るプロセスを両輪とします。
その際、学習履歴の記録と自己省察の記録を経験省察研修録(ポートフォリオ:経験と省察のプロセスをファイリングした研修記録)作成という形で全研修課程において実施します。
場に応じた教育方略は下記の通りです。
- 外来医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保します。外来診察中に指導医への症例提示と教育的フィードバックを受ける外来教育法(プリセプティング)などを実施します。また、指導医による定期的な診療録レビューによる評価、更には、症例カンファレンスを通じた臨床推論や総合診療の専門的アプローチに関する議論などを通じて、総合診療への理解を深めていきます。また、技能領域については、習熟度に応じた指導を提供します。 - 在宅医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保する。初期は経験ある指導医の診療に同行して診療の枠組みを理解し、次第に独立して訪問診療を提供し経験を積みます。外来医療と同じく、症例カンファレンスを通じて学びを深め、多職種と連携して提供される在宅医療に特徴的な多職種カンファレンスについても積極的に参加し、連携の方法を学びます。 - 病棟医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保します。入院担当患者の症例提示と教育的フィードバックを受ける回診及び多職種を含む病棟カンファレンスを通じて診断・検査・治療・退院支援・地域連携のプロセスに関する理解を深めます。指導医による診療録レビューや手技の学習法は外来と同様です。 - 救急医療
経験目標を参考に救急外来や救命救急室等で幅広い経験症例を確保します。外来診療に準じた教育方略となりますが、特に救急においては迅速な判断が求められるため救急特有の意思決定プロセスを重視します。また、救急処置全般については技能領域の教育方略(シミュレーションや直接観察指導等)が必要となり、特に、指導医と共に処置にあたる中から経験を積みます。 - 地域ケア
地域医師会の活動を通じて、地域の実地医家と交流することで、地域包括ケアへ参画し、自らの診療を支えるネットワークの形成を図り、日々の診療の基盤とします。
さらには産業保健活動、学校保健活動等を学び、それらの活動に参画します。参画した経験を指導医と共に振り返り、その意義や改善点を理解します。
臨床現場を離れた学習
総合診療の様々な理論やモデル、組織運営マネジメント、総合診療領域の研究と教育については、関連する学会の学術集会やセミナー、研修会へ参加し、研修カリキュラムの基本的事項を履修します。
医療倫理、医療安全、感染対策、保健活動、地域医療活動等については、日本医師会の生涯教育制度や関連する学会の学術集会等を通じて学習を進めます。地域医師会における生涯教育の講演会は、診療に関わる情報を学ぶ場としてのほか、診療上の意見交換等を通じて人格を陶冶する場として活用します。
自己学習
研修カリキュラムにおける経験目標は原則的に自プログラムでの経験を必要としますが、やむを得ず経験を十分に得られない項目については、総合診療領域の各種テキストやWeb教材、更には日本医師会生涯教育制度及び関連する学会におけるe-learning教材、医療専門雑誌、各学会が作成するガイドライン等を適宜活用しながら、幅広く学習します。
当プログラムで経験できること
疾患・病態
以下に示す一般的な症候に対し、臨床推論に基づく鑑別診断および、他の専門医へのコンサルテーションを含む初期対応を適切に実施し、問題解決に結びつける経験をする。(全て必須)
ショック、急性中毒、意識障害、疲労・全身倦怠感、心肺停止、呼吸困難、身体機能の低下、不眠、食欲不振、体重減少・るいそう、体重増加・肥満、浮腫、リンパ節腫脹、発疹、黄疸、発熱、認知脳の障害、頭痛、めまい、失神、言語障害、けいれん発作、視力障害・視野狭窄、目の充血、聴力障害・耳痛、鼻漏・鼻閉、鼻出血、嗄声、胸痛、動悸、咳・痰、咽頭痛、誤嚥、誤飲、嚥下困難、吐血・下血、嘔気・嘔吐、胸やけ、腹痛、便通異常、肛門・会陰部痛、熱傷、外傷、褥瘡、背部痛、腰痛、関節痛、歩行障害、四肢のしびれ、肉眼的血尿、排尿障害(尿失禁・排尿困難)、乏尿・尿閉、多尿、不安、気分の障害(うつ)、興奮、女性特有の訴え・症状、妊婦の訴え・症状、成長・発達の障害
以下に示す一般的な疾患・病態について、必要に応じて他の専門医・医療職と連携をとりながら、適切なマネジメントを経験する。(必須項目のカテゴリーのみ掲載)
貧血、脳・脊髄血管障害、脳・脊髄外傷、変性疾患、脳炎・脊髄炎、一次性頭痛、湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、薬疹、皮膚感染症、骨折、関節・靱帯の損傷及び障害、骨粗鬆症、脊柱障害、心不全、狭心症・心筋梗塞、不整脈、動脈疾患、静脈・リンパ管疾患、高血圧症、呼吸不全、呼吸器感染症、閉塞性・拘束性肺疾患、異常呼吸、胸膜・縦隔・横隔膜疾患、食道・胃・十二指腸疾患、小腸・大腸疾患、胆嚢・胆管疾患、肝疾患、膵臓疾患、腹壁・腹膜疾患、腎不全、全身疾患による腎障害、泌尿器科的腎・尿路疾患、妊婦・授乳婦・褥婦のケア、女性生殖器およびその関連疾患、男性生殖器疾患、甲状腺疾患、糖代謝異常、脂質異常症、蛋白および核酸代謝異常、角結膜炎、中耳炎、急性・慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、認知症、依存症(アルコール依存、ニコチン依存)、うつ病、不安障害、身体症状症(身体表現性障害)、適応障害、不眠症、ウイルス感染症、細菌感染症、膠原病とその合併症、中毒、アナフィラキシー、熱傷、小児ウイルス感染、小児細菌感染症、小児喘息、小児虐待の評価、高齢者総合機能評価、老年症候群、維持治療機の悪性腫瘍、緩和ケア
技術・機能
以下に示す、総合診療の現場で遭遇する一般的な症候及び疾患への評価及び治療に必要な身体診察及び検査を経験します。なお、下記の経験目標については一律に症例数や経験数で規定しておらず、各項目に応じた到達段階を満たすことが求められます。(研修手帳参照)
身体診察
- 小児の一般的身体診察及び乳幼児の発達スクリーニング診察
- 成人患者への身体診察(直腸、前立腺、陰茎、精巣、鼠径、乳房、筋骨格系、神経系、皮膚を含む)
- 高齢患者への高齢者機能評価を目的とした身体診察(歩行機能、転倒・骨折リスク評価など)や認知機能検査(HDS-R、MMSE など)
- 耳鏡・鼻鏡・眼底鏡による診察
- 死亡診断を実施し、死亡診断書を作成
検査
- 各種の採血法(静脈血・動脈血)、簡易機器による血液検査・簡易血糖測定・簡易凝固能検査
- 採尿法(導尿法を含む)
- 注射法(皮内・皮下・筋肉・静脈内・点滴・成人及び小児の静脈確保法、中心静脈確保法)
- 穿刺法(腰椎・膝関節・肩関節・胸腔・腹腔・骨髄を含む)
- 単純X線検査(胸部・腹部・KUB・骨格系を中心に)
- 心電図検査・ホルター心電図検査・負荷心電図検査
- 超音波検査(腹部・表在・心臓・下肢静脈)
- 生体標本(喀痰、尿、皮膚等)に対する顕微鏡的診断
- 呼吸機能検査
- オージオメトリーによる聴力評価及び視力検査表による視力評価
- 頭・頚・胸部単純 CT、腹部単純・造影 CT
手術・処置
以下に示す、総合診療の現場で遭遇する一般的な症候及び疾患への評価及び治療に必要な治療手技を経験します。なお、下記については一律に経験数で規定しておらず、各項目に応じた到達段階を満たすことが求められます。(研修手帳参照)
救急処置
- 新生児、幼児、小児の心肺蘇生法(PALS)
- 成人心肺蘇生法(ICLS または ACLS)または内科救急・ICLS 講習会(JMECC)
- 病院前外傷救護法(PTLS)
薬物治療
- 使用頻度の多い薬剤の副作用・相互作用・形状・薬価・保険適応を理解して処方することができる。
- 適切な処方箋を記載し発行できる。
- 処方、調剤方法の工夫ができる。
- 調剤薬局との連携ができる。
- 麻薬管理ができる。
治療手技・小手術
- 簡単な切開・異物摘出・ドレナージ
- 止血・縫合法及び閉鎖療法
- 簡単な脱臼の整復、包帯・副木・ギプス法
- 局所麻酔(手指のブロック注射を含む)
- トリガーポイント注射
- 関節注射(膝関節・肩関節等)
- 静脈ルート確保および輸液管理(IVH を含む)
- 経鼻胃管及びイレウス管の挿入と管理
- 胃瘻カテーテルの交換と管理
- 導尿及び尿道留置カテーテル・膀胱瘻カテーテルの留置及び交換
- 褥瘡に対する被覆治療及びデブリードマン
- 在宅酸素療法の導入と管理
- 人工呼吸器の導入と管理
- 輸血法(血液型・交差適合試験の判定や在宅輸血のガイドラインを含む)
- 各種ブロック注射(仙骨硬膜外ブロック・正中神経ブロック等)
- 小手術(局所麻酔下での簡単な切開・摘出・止血・縫合法滅菌・消毒法)
- 包帯・テーピング・副木・ギプス等による固定法
- 穿刺法(胸腔穿刺・腹腔穿刺・骨髄穿刺等)
- 鼻出血の一時的止血
- 耳垢除去、外耳道異物除去
- 咽喉頭異物の除去(間接喉頭鏡、上部消化管内視鏡などを使用)
- 睫毛抜去
研修スケジュール
モデルコース

プログラム概要
プログラム名 | 中部国際医療センター 総合診療専門研修プログラム |
---|---|
責任者 | 青山 琢磨 |
責任者の出身大学 | 岐阜大学 |
募集定員 | 2名 |
指導医 |
総合診療専門研修指導医 1名 |
連携施設 |
|
診療科情報
クリックで病院サイトの診療科ページに遷移します。